日本の労働力不足に対応するため、外国人労働者の受け入れ制度が大きく変化しています。その中心となるのが「技能実習」と「特定技能」という二つの在留資格です。さらに、今後は「育成就労制度」という新制度も創設される予定です。
技能実習制度とは?
「技能実習制度」は、1993年に創設された制度で、開発途上国への技術移転を目的としています。実際には労働力確保の手段として運用されてきた側面があり、制度の見直しが進んでいます。
- 目的:国際貢献(技能の移転)
- 在留期間:最長5年(1号~3号)
- 職種:製造業、建設業、農業など
- 転職:原則不可
特定技能制度とは?
2019年に新設された「特定技能」は、日本の人手不足を補うための制度です。技能や日本語試験に合格した即戦力の外国人が対象で、14の産業分野での就労が可能です。
- 目的:人手不足解消・即戦力確保
- 在留期間:1号:最長5年 / 2号:無期限 ※現時点では非常に稀
- 職種:介護、外食、建設、農業など
- 転職:可能 ※都度在留資格の変更届が必要、また別業種の場合には当該業種の技能評価試験等に合格している必要
- 試験:技能試験および日本語試験に合格が必要
技能実習から特定技能への移行が進む背景
技能実習制度には、「実態と目的の乖離」「人権侵害の指摘」「キャリアの断絶」などの課題があり、実習修了者が「特定技能1号」に移行するケースが増えています。制度の段階的移行が政府主導で進められています。
育成就労制度とは?
政府は技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を導入予定です。2027年の施行を目指しており、人材育成と労働力確保の両立を目的とした制度設計が進められています。
- 制度目的:人材育成+労働力確保
- 対象:未経験者でも受け入れ可能
- 転職:分野内での移動は原則可能に(条件あり)
- 在留期間:最長5年(更新不可予定)
- 家族帯同:不可(今後の検討課題)
育成就労制度と特定技能の違い
項目 | 育成就労(制度設計中) | 特定技能 |
---|---|---|
目的 | 人材育成と労働力確保の両立 | 即戦力となる外国人の受け入れ |
制度開始 | 2027年予定 | 2019年 |
対象者 | 未経験者含む | 技能試験・日本語試験合格者など |
在留期間 | 最長5年(更新不可) | 1号:最長5年 / 2号:無期限 |
転職可否 | 同分野内で可能(条件あり) | 同分野内で可能(条件あり) |
家族帯同 | 原則不可 | 1号:不可 / 2号:可能 |
まとめ:企業が押さえておくべきポイント
- 短期的に人材を確保したい:特定技能1号
- 高度な人材を長期雇用したい:特定技能2号(※現状では2号の労働者を見つけることは難しい。)
- 未経験者を育てながら雇用したい:育成就労制度(今後)
制度変更は今後も続きます。企業としては、最新の制度動向を踏まえ、外国人労働者が安心して長く働ける環境を整えることが求められています。弊社では、制度解説から採用支援、在留資格申請や生活支援まで一貫したサポートを提供しています。
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