近年、日本で働く外国人の増加に伴い、その配偶者や子どもと一緒に日本に滞在する「家族帯同」のケースが増えています。では、「家族帯同」の在留資格で日本に滞在している人は、就労が可能なのでしょうか?
本記事では、在留資格「家族滞在」を中心に、就労の可否や条件、申請方法、注意点について詳しく解説します。
「家族滞在」は在留資格です!
「家族滞在」という表現は一般的に使われますが、これは正式な在留資格の名称です。
家族滞在ビザの対象となるのは?
- 日本で中長期滞在している外国人(例:技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能など)に扶養されている配偶者や**子(基本的には未成年)**が対象です。
なお、永住者・日本人の配偶者・定住者等の家族は「家族滞在」ではなく、身分系の在留資格(「永住者の配偶者等」など)になるため、別の扱いになります。
家族滞在ビザでの就労は可能か?
原則として、家族滞在の在留資格では就労できません。
なぜなら、「家族滞在」は就労活動ではなく、扶養される立場を前提とした在留資格だからです。
しかし、条件を満たせば就労が可能です。
就労可能にするためには「資格外活動許可」が必要
資格外活動許可とは?
出入国在留管理庁から「資格の範囲外での活動を認める」特別な許可を得ることで、パートタイム等の就労が可能になります。留学生と同じことになります。
主な条件
項目 | 内容 |
---|---|
対象者 | 家族滞在ビザを有する外国人 |
許可を受ければ | 原則、週28時間以内の就労が可能 |
就労先 | 原則自由(業種制限なし)ただし、風俗営業など一部禁止業種あり |
申請方法 | 原則本人が入管に申請 |
費用 | 無料 |
期間 | 在留期間に応じて許可されるが、更新時には再申請が必要 |
資格外活動許可には「包括許可」と「個別許可」がある
■ 包括許可とは?
特定の勤務先に限らず、アルバイト等の一般的な就労活動全体に対して包括的に許可される形式です。
家族滞在や留学など一部の在留資格では、この包括許可を取得することで、週28時間以内の範囲で自由に働くことができます。
- 例:コンビニ・飲食店・清掃などのアルバイトを掛け持ちしても、全体で28時間以内であればOK。
- 申請時には「包括許可希望」と記載。
■ 個別許可とは?
一方で、本来の在留資格と異なる内容の活動を一時的に行いたい場合には「個別許可」が必要です。たとえば、報酬を伴う講演や、外交官の家族のアルバイトなどがこれに該当します。
- 勤務先・活動内容が明確に特定され、都度入管の審査・許可が必要。
- 許可された活動以外への従事は不可。
✅ 家族滞在の外国人がコンビニでアルバイトをする場合は「包括許可」が一般的ですが、
特殊な業種や短期間の契約などは「個別許可」になることもあります。
注意点:禁止業種への就労
家族滞在ビザでの就労は以下の点に注意が必要です。
❌ 風俗営業に該当する業種は禁止
- パチンコ店、接待を伴う飲食店での就労は禁止されています。これは本件に限ったことではなく、資格外活動により就労許可がでるものは全てに適用されます。
家族滞在で就労を考える上でのまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
就労可否 | 原則不可だが、資格外活動許可があれば可 |
就労時間 | 週28時間以内 |
許可の種類 | 包括許可(一般的なアルバイト)と個別許可(特別な活動) |
禁止業種 | 風俗営業関連など |
手続き | 入管で資格外活動許可を取得する必要あり |
最後に:家族滞在で働くことを希望する方へ
「家族滞在」で日本に来られる外国人の方々も、家計を支えるためや社会参加のために就労を希望するケースが増えています。ただし、無許可で働くことは不法就労となり、本人・雇用主ともに重いペナルティが課される可能性があります。
必ず正しい手続きを踏んで、ルールの範囲内で働くようにしましょう。