倉庫、物流業界における外国人材の活用とは?

本記事では、倉庫・物流業界における外国人材の受け入れの現状、在留資格の種類、活用のメリットと課題、そして今後の展望について記載します。


なぜ倉庫・物流業界に外国人材が必要なのか

物流業界、とりわけ倉庫内作業では、荷物の仕分け、ピッキング、検品、梱包、フォークリフト運転など、肉体労働を伴う単純作業が中心です。これらの作業は『誰でもできる仕事』ではなく体力はもちろん集中力等が必要な仕事です。

また、近年では大規模ロジスティクスセンター等の竣工が増え、働き手の取り合いになっている業種でもあります。そのような背景もあり、外国人労働者の力を必要とする業界の一つとされており、近年は外国人材の雇用が急速に進んでいます。


外国人が従事できる在留資格と制度

倉庫・物流業界では、外国人材が活躍できる在留資格には以下のようなものがあります。

1. 特定技能1号(製造関連分野などに付随する倉庫作業等)

物流業は現在のところ直接の対象分野ではありません。※倉庫業は2025年閣議決定をめざし27年度から施行を目指すようです!ですが製造工場の付随的な部分を切り出して「製造業の関連業務」として一部倉庫業務に従事できるケースがあり特定技能人材の受け入れが認められることもあります。

2. 技能実習(職種:包装作業など)

技能実習制度では、「包装作業」「仕分け」「検品」などが該当職種として認められています。ただし、「倉庫内作業」として一括して認められているわけではなく、職種ごとに明確な範囲が定められています。

3. 留学生・家族滞在等の資格外活動

コンビニ、倉庫バイトなどで多くの外国人留学生が従事しています。1週間に28時間以内という制限のもと、仕分けやピッキングなど比較的軽作業のアルバイトに多く従事しています。


外国人材活用のメリット

1. 労働力の安定確保

慢性的な人手不足に対し、外国人材は安定的な労働力の供給源となります。特定技能や技能実習ではフルタイムでの就業が可能なため、パートタイムよりも安定的な稼働が期待できます。

2. 作業品質の向上

近年の外国人材は真面目で勤勉な人が多く、与えられた業務を正確にこなす傾向があります。作業標準書を多言語で整備し、教育体制を整えれば、日本人と同等の戦力として活躍できます。

3. 国際化・ダイバーシティの促進

多様な人材が協働することで、現場の雰囲気や意識が変わり、従業員の国際的な視野が広がることも期待できます。


活用における課題

1. コミュニケーションの壁

特に安全面での指示やルールの徹底が求められる物流現場において、日本語能力は非常に重要です。日本語教育の支援や、多言語対応マニュアルの整備が必要です。また、複数採用した際の採用人数に対しての国籍のバランスや指導的や役割を果たすメンター的な人材の採用などあれば良いとされています。

2. 在留資格ごとの制限

どの業務にどの資格の外国人が従事できるのか、細かな制度の理解が必要です。業務内容と資格が一致しない場合は不法就労となるリスクもあるため、雇用側には制度理解と管理責任が求められます。

3. 離職リスクと定着支援

生活環境の整備、相談窓口の設置、文化的な配慮など、外国人が安心して働ける環境を整えることが、長期的な定着には不可欠です。


今後の展望と企業に求められる姿勢

政府は今後さらに外国人材の受け入れを拡大する方針を示しており、倉庫・物流業界もその対象になる可能性があります。新たな特定技能分野への追加や、技能実習制度の見直し(育成就労制度への移行)によって、より柔軟な外国人雇用が可能になるでしょう。

その一方で、単に「人手」として外国人を扱うのではなく、文化的・制度的な背景を理解したうえで、共に働く仲間として受け入れる姿勢が企業に求められます。


まとめ

2025年6月現在では直接倉庫物流業務に対して特定技能の在留資格にて人材の供給はできませんが、2027年には可能になります。

倉庫・物流業界における外国人材の活用は、現場の人手不足を解消するだけでなく、現場の活性化や業務の安定化にもつながります。外国人材の力を上手に活かし、共に成長する職場づくりこそが、これからの物流業界に求められる新しいスタンダードと言えるでしょう。

もし、なにか気になる点があればお気軽にお問い合わせください!

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